ロシアのウクライナ侵攻と西側の制裁発動が決定的となったが、NATOは軍隊の派遣は見送った。事態の推移が不明な内は、不安感からリスクオフになるが、明確な方向性が見えるとこれは机上の計算が可能となる。
今回のケースでは、ウクライナもロシアも、世界経済に与える影響は小さいということ。影響があるとするならば、ヨーロッパが輸入しているエネルギーの大部分がロシアからということ。特にドイツは50%近くになる。また、ロシアもウクライナもそれぞれ小麦の輸出国で、それぞれ世界1位と5位だ。これらの輸出が減るとなると、やはり欧州の一般生活に影響が出てくる。つまり、殆どの悪影響を欧州が受け止め、それ以外の地域は、むしろ、欧州向けの輸出の代替えが効く国はプラスの影響が出てくる。
そういう意味では、今回は、AUDUSDのロングを0.7150で積み増し。USDMXNのロングは、21.5500で半分利食いして、全体のUSDロングはほぼ中立となった。
その他、西側の制裁による影響だが、為替市場では通貨RUBが売られるのは間違いないが、一方的な通貨安はロシアも許容できないため、どこかの水準では自国通貨買い介入を実施してくるだろう。その為の原資となる外貨準備預金は、2016年のトランプ政権誕生後から徐々に増やしており、当時と比較しても1.5倍の規模まで増額してしっかり準備を整えていた感じで、為替市場もおかしなことにはならなそう。むしろ、ロシアの国債またはロシアの企業債、これらが格付け会社から続々と格下げを食らうだろうから、それを保有している投資会社の動向が気になる。既に米最大のブラックロックがロシア債を相当保有しており、これらの資産価値が暴落すると、この損失を他の資産の売却で埋め合わさなければならない。他でも似たような状況となったファンドが合って、それらが一斉に同じ投資行動を実行、つまりこれまで益が乗っている株の売却により、株式市場が暴落することが、最悪のシナリオと予想する。