0.25%の利上げが予想されていたBOE会合ですが、利上げ幅は予想通り0.25%だったもののメンバー9人のうち4人は0.5%の利上げを主張したということで、タカ派サプライズとなりました。更に、市場の期待を超える7%を超えると見込むインフレ率を視野に、過去10年の量的緩和(QE)の下で積み上げた8950億ポンド(約140兆円)の保有資産について縮小を開始、保有国債の満期償還金の再投資を直ちに停止することを決定しました。
ただ、インフレ予測については、4月に7.25%でピークをつけたあとは徐々に低下すると予想し、2022年末こそCPI予想を+5.21%に引き上げた(11月時点:+3.40%)ものの、2023年末は+2.15%(11月:2.23%)に、2024年末は1.60%(11月:1.95%)にそれぞれ引き下げています。ベイリー総裁が、金利が長期的に上がり続けると考えること間違いと言っているように、引き締めをより早く行うことでインフレリスクを今年後半から抑え込むことに成功するのであれば、金利の正常化を長期間継続する必要がなくなるということであり、長期均衡金利はそこまで高くないと思われます。また、インフレ高止まりが経済に及ぼすリスクに言及したように、ポジティブな利上げではなくGBP買いには繋がらないと予想します。GBPAUDのショートは維持します。
もしかしたらスタンスが引き締めに変わるかもしれないと注目されたECB会合ですが、公式見解は、物価上昇がいずれ緩和するという従来の見通しを踏襲するものでした。政策スタンスについて結論を急ぐことはないとも強調するなど従来通りのハト派スタンスとなりました。しかし、ラガルド総裁の記者会見では、インフレが広範なものになっているとの見解を示し、インフレリスクは上方に偏っていると言及しました。インフレ長期化によるリスクの高まりにも言及し、条件が満たされればECBは行動に移すと繰り返すなど、タカ派スタンスへ転換した様に見えます。2022年の利上げの可能性は低いという従来のコメントは使われませんでしたし、労働参加率は過去最低を記録し、パンデミック前の水準に戻っているため、堅調な労働市場は賃金上昇に繋がり中期的なインフレに繋がるなど、経済を含む情勢は大きく変わったという認識を示しました。今後の理事会における金融政策の再調整の必要性などについて示していたことから、3月会合で政策の見直しする可能性が高まり、EURは大きく買われました。これまで、金融政策の格差としてEURクロスのショートがコンセンサストレードでしたが、その巻き戻しが起こるなら、ロングを狙いたいです。今晩の米NFPは先日のマイナスとなったADPの結果を反映して弱目予想なので、万が一強かった時にUSDが買われることがあれば、逆張り的にEURのロングを仕込みたいです。とりあえず200日線がある1.16後半までの上昇は見込んでいます。