- 今週の注目材料
米CPI
ベース効果が残っており今月まではかなり強い数字が予想されています。前年比ベースでは数字が分かりにくくなっているため、前月比の数字を見ていく方が物価上昇が一時的かそうでないかの判断材料になると思います。+0.5%を維持できていると、来年には5%になってしまい、流石に早期利上げが必要なレベルとなります。前月比+0.2%程度であれば、徐々に2%に収束していきます。この辺りの、水準感を持ちながら、CPIを見ていきたいと思います。
ここ数日、長期金利だけでなく短期の2年債金利も急低下し、先月のFOMC後の高値から半分程度戻した形になります。2年後と言えばFOMCの予想では2回利上げが過半数となっていますが、現在の金利の織り込みでは1回程度まで下がったように、最近のFOMCメンバーの「インフレは一時的」という発言の影響を受けているようです。従いまして、サプライズがあるとすれば、金利上昇方向、為替ではUSD買い方向だと予想します。
その他、同じようにインフレは一時的と評価しているイギリスのCPIと住宅価格を中心にインフレ進行に悩んでいるニュージーランドのRBNZ政策決定会合やCPIにも注目です。
ただ、サプライズはないと思いますので、既にUSDが買われている分売られると思います。
2-2. BOC(カナダ中銀)政策決定会合
4月の会合で国債購入の減額を決定し、2022年後半に利上げ開始という姿勢を示して以来、CADは買い進まれていましたが、ここにきてロングが溜まり過ぎたことからその解消により売られています。一方で、雇用指標は良好、原油価格も底堅く推移、直近のビジネスアウトルックサーベイではカナダ企業の楽観的な先行き見通しが示されるなど、特段悪い材料が出てこない状況下、テーパリングをもう一段縮小させるという見方も出てきています。ただ、仮にQEを更に減額したところで、その先の利上げ見通しが前倒しにならない限りは、金利市場では既にある程度織り込まれていますので、あまり一方的なCAD買いには繋がらないのではないかと予想します。
全体的に、数日進行したUSD買いが反転する週なのではないかと思っています。米経済と金融政策に注目したUSD買いであれば続きやすいですが、突如として材料視されたコロナ変異株の感染拡大から来るリスクオフということであれば、一旦は戻ると思って、リスク資産をロングにして、とりあえずAUDショートは利食いしてロング転しました。
ただ、この先ロックダウンが主流になるようですと、世界景気が再び落ち込みますので、利上げどころの騒ぎではなくなり、リスクオフのUSD買いとなるでしょうが、まだその段階ではないと考えています。