- 今週の注目材料
ECB理事会
今回の注目は一度速めたPEPP購入ペースをどうするのかということにつきます。ワクチン普及による経済活動の再開及び、復興基金による景気サポートを先取りする形で景況感系の指数が上昇し、金利も緩和解除期待で上昇を続けています。また、5月のCPIは前年同月比でECBの目標値である2%を上回っています。しかし、ECBの中期的インフレ見通しは依然としてターゲットである2%を大きく下回った状態であることから、敢えて今回テーパリングを実施して更なる金利の上昇と通貨高を招くことで景気を押さえつける必要はないと考えます。ただし、5月末の多数のECB高官からの金融緩和継続発言で、ある程度織り込まれていると思いますし、ECBの場合、これ以上の緩和手段はないことから欧州サイドでEUR売り材料は限定的だと思います。ドルサイドに余程強い買い材料がない限りは1.2000が底堅くなると予想します。
米CPI
前回4月分の米CPIは前年比+4.2%と予想の3.6%を大きく超える驚きの高水準となりました。パンデミックの影響で比較対象元である2020年4月の物価が低下したことによるベース効果もありますが、それにしても高い水準だったといえます。そして、今回発表される5月分CPIも2020年5月からのベース効果の影響があり、高い数字が発表されそうです。前回のCPI発表後から、米FOMCメンバーは直近の物価上昇について一時的なものという認識を崩していないので、今回高い水準が示されたとしても、大きな影響はないと思われますが、少なくとも実際に出てきている数字を考えると、米金利が低下するという可能性は低く、どちらかというとドル買い方向のイベントだと思います。
しかし、もしサプライズがあるとするならば、予想以上に数字が低かった場合です。現時点では、雇用の数字が著しい回復を見せていない中で、物価まで安定化の兆しが見えるようなら、一段と1.5%をしっかり割れる水準まで米金利は低下することになりそうです。その場合、もう暫くドル売り地合いが継続しそうです。
全体的に、雇用統計が緩やかな回復しか示せないとなると、FRBが急いで利上げをするように追い込まれることはなく、とりあえずテーパリングという市場コンセンサス通りの展開となるのなら、ゴルディロックス相場のUSD売りがもう暫く続きそうです。
ポジションとしては、AUDとGBP以外大体USDショートになっています。ただ、USDCADだけは、CADロングが溜まっていそうなことと、何気に雇用が先週金曜日悪かった上で水曜日のBOC会合を迎えることから、CADロングの調整の地合いは整っていそうで、少し気持ちが悪くCADロングのサイズは減らしてあります。