- 今週の注目材料
28日の米予算教書
28日に発表される2022年会計年度(2021年10月から2022年9月)の予算教書があります。バイデン大統領にとって初の予算教書ですが、22・23日の週末に両党での合意を目指すべくインフラ投資計画の規模を1/4だけ縮小し、合計1.7兆ドル規模の案で再提案しています。ただ、これでも共和党の支持できるとされている案を大きく上回っています。この程度の妥協案で月末に向けてスムーズに話が進むのであれば、株式市場にとってはポジティブですが、既に一部の共和党議員から反対意見が出ているように揉めるようなことがあると、株の上値が抑えられ、先週以上にリスクオフの雰囲気が強まる恐れがあります。
また、今回は全体像の公表となり、トランプ政権下で悪化した外交の回復を目指す中で注目される海外援助や移民対策、さらには警察活動などの項目についての要求が示される予定となっています。バイデン政権の姿勢を占う意味でも注目を集めています。
米金融政策
今回のFOMC議事録や今月の弱い雇用統計と強いCPIを受けた後の、FOMCメンバーの発言などを元に、今後の金融政策の行方を考えてみました。
結論から言うと、余程雇用が崩れない限りは、9月頃のFOMCで資産買入額減額について言及し、2022年1月からスタートするのではないかということです。少なくとも5月の悪かった雇用、強かったCPIをそれぞれ一時的と認識している以上、7月くらいまでデータの確認は必要でしょう。
ただし、現在世界の中銀が、市場に対して最も強く発信していることは、資産買入額減額(以後テーパリング)は金融引き締めである利上げとは違うということです。直近では2013年12月にサプライズ的にテーパリングを決定しました。その際には、テーパリング後の利上げの織り込みを牽制するかのように、失業率やインフレ率の目標値を挙げて、利上げ時期は相当先になるということを市場に認識させることで、サプライズ的なテーパリング決定だったにもかかわらず、米債利回りは急騰せず、株価も底堅く推移させることに成功しました。
今回は、既にインフレについてはAIT(平均インフレターゲット)2%を導入済みなので、CPIが仮に2%を超えていたとしても、即座に利上げをする必要はないように布石は打ってあります。しかし、それでもCPIを原因にテーパリングを決定すると、どうしてもその先にインフレ=利上げが想起されてしまうため、あくまでも雇用が回復したからという理由で決定し、尚且つ利上げは相当先というメッセージを強調して金利が急騰しないように慎重にテーパリングを実施するのではないかと予想します。
したがって、もう少し経済データが揃ってくるまではUSD売りは継続するのではないでしょうか。